一ノ瀬ポトフの生活

趣味で書いたエッセイ的小話を順次アップしていきます

とある喜び

妹にうなじの毛を部分的に剃ってもらった。満足げな彼女を見て、「その気持ちはちょっとわかる」と思った。

 

 

例えば、全身脱毛を経てもなお、生命力溢れる私のすね毛。

もちろん脱毛前とは比べ物にならないくらい薄くなったが、ちょろちょろと、何本か、しぶとい毛が生えている。

 

私はうなじのついでにと、シェーバーで剃ることにした。パジャマの裾をまくり、膝下のみを処理。

シェーバーが通るたび次々と倒れ、消えていく毛を二人でじっと見つめていた。妹と、「耳掃除の動画みたいなものだよね」「芝刈り機的なね」と話す。我々はこの時、大きな声では言えないが確かな感動を共有していた。

 

わき毛はどうだろう。こちらも脱毛することで薄くなり、処理頻度は格段に減ったものの、放置すると生命力の強い毛が数本生え、伸びてくる。

 

ウン週間前に剃ったばかりだからな…まだいけるかな。

 

確認してみると、なるほど、太い毛が数本…でも短め?かな…

「泳がせておくか…(意訳…まだ剃らなくていいか)」
「そんなスパイ映画みたいに」
妹が吹き出す

 

結局わき毛は剃った。ウン週間前に剃ったばかりなだけあって、すね毛程の手応えはなかった。

 

次は手の指。うっすらだけど生えている。手の甲にも生えてきたりするから全く奴らは油断ならない。妹と比べてみると、私のが濃い。

昔、塾の先生で、指毛の生えてる人を見つけては謎の親近感を覚えたりしたっけ。

 

足指はどうだろう。屈強で育ちきった毛がいたので、芝刈り機的に打ち倒す。ちょっと楽しい。

 

顔の毛もやろうか。普段は処理をとことん面倒臭がるのに、一度やる気になるとどんどんやろうと思うのは何故なのだろう。

 

眉毛。以前、週イチで剃ると言ったら妹に驚かれた。

やはり、私のほうが全体的に体毛が濃い上、生えてきやすい。眉毛も私のほうが濃い。(その分眉毛の周りも生えやすいけど。)

眉毛が濃いことに関しては羨ましがられるが、私は妹の体毛の薄さが羨ましい。

 

ひとしきり処理を終え、一息つく。妹の顔を見た。
…体毛は濃いほうが剃った時見ごたえがある。しかし、今更ながら、私より体毛の薄い妹に、私も面白がってるとはいえ、一方的に芝刈り機的な目で見られているという事実がやや悔しく思われる。

そんな夜だった。